MCR流 R35 ミッションOH
まずはミッションを降ろします。
リヤメンバーごと降ろします。
メンバーとミッションを切り離し作業台の上に移動します。
ミッションを上下逆にしてオイルパンを外して分解開始。
ソレノイドユニットの洗浄です。
ソレノイドに付着した鉄粉を除去します。
定期的に洗浄をしないとソレノイドに傷が付き動作不良を起こしギヤが切り替わらなくなります。(洗浄ヶ所は全部で5ヶ所)
ソレノイドに日産純正の対策部品を取り付けます。(シフトフォークが削れてソレノイドが回転してしまい、最悪の場合2重噛合いでミッションブローしてしまいます。後期型は対策済み。3個取り付けます。)
圧力センサーを測定し基準値から外れた場合は交換します。(圧力センサーが壊れると車が動かなくなります。)
真っ黒なフィルターを交換します。
トランスファーケースを外します。
オイルポンプユニットを外します。
オイルポンプユニットを分解します。
オイルポンプユニットの中にある二つのフィルターを洗浄します。
写真のようにゴミがびっしりと詰まっています。
悪化するとギヤが入らなくなります。(片方が1,3,5速でもう片方が2,4,6速です。)
フィルター洗浄後。
〇の部分のガスケットをカットします。
加工後の写真です。
この部分は走行しているうちに勝手に剥がれてしまい、剥がれたガスケットが先ほどのフィルターに詰まってしまうので加工が必要です。
オイルポンプの油圧強化。
エンジンの仕様に応じて油圧を強化してクラッチが滑るのを防ぎます。
ブーストアップ程度のパワーでは必要ありません。
ソレノイドユニットと同様に圧力センサーを測定し基準値から外れた場合は交換します。(オイルポンプの圧力センサーが壊れると偶数ギヤまたは奇数ギヤに入らなくなります。)
続いてクラッチのオーバーホールです。
クリアランスを計測してから分解していきます。
マニュアル車と同様にクラッチディスクは摩耗して薄くなります。
薄くなった分プレートを追加してクリアランスを調整します。
クラッチのオイルシールの確認です。
ディスクが減ってクリアランスが大きいまま走行していると、オイルシールが正確に動かないことにより破損してしまいます。
破損した場合ディスクに油圧がかからないので走行できなくなってしまいます。(オイルシールは偶数ギヤ側と奇数ギヤ側に1個づつあります。)
エンジンをチューニングしていくと850馬力を超えたあたりから油圧強化だけではクラッチが耐えられなくなります。
そこでディスクの枚数を6枚から7枚に増やす強化クラッチメニューもございます。
フロントファイナルギヤのCリングロックの対策です。
このCリングはシャフト側の溝が浅い為、外れてしまうことがあります。
Cリングが外れるとギヤが抜けてきてしまい、オイルポンプのギヤと干渉しミッションブローしてしまいます。
後期型は溝が深くなっており対策する必要はありません。
MCRでは前期型用の対策部品を取付てギヤが抜けないようにしております。
対策部品の取付終了。
オイルパンに付いているマグネットです。
鉄粉を洗浄します。
洗浄して綺麗になったマグネット。
以上でオーバーホールの終了です。
組み立てていきます。
完成です。
トラブルなどがあったミッションは必要に応じてミッションベンチでチェックを行います。
ベンチ上ではパソコンを使って1~6速ギヤとバックギヤに変速することはもちろん、油圧や各センサーのチェックを行うことが可能です。
また新品ミッションや新品ギヤの慣らしを行うことも可能です。
メンバーとミッションを合体する前にメンバーを掃除します。
掃除終了です。
ミッションとメンバーが分離しているので普段手が入らない部分も含めて掃除します。
そうすることでオイル漏れ等のトラブルの早期発見に役立ちます。
サーキットを走行する方はリヤデフのオイルキャッチタンクを取付します。
純正ではオーバーフローチューブが車体に繋がっており、そのままでは下回りがオイルだらけになってしまいます。
車体に搭載して作業は終了です。
最後にクラッチギヤ学習を行います。
この作業はクラッチのクリアランスを調整したため、ミートポイントが変わってしまっているのでコンピューターに学習させる作業です。
クラッチギヤ学習はミッションオーバーホール後だけではなく、定期的に学習させるこにより、常にベストなコンディションを維持することが可能です。